橘たかし no 皆の仲間: 2018/04/01

2018-04-09

続・電子書籍の失敗・・・定額制で雑誌読み放題の罠

電子書籍の失敗」と題して投稿したところアメリカを中心に大勢の方が読んで下さった様だ。

恐らくトクヴィルのアメリカン・デモクラシーの本の表紙を載せた為だと思う。

気を良くしたので続編をお届けする。

期待したより高価

電子書籍には紙の本の「再販制度」や「製本費用」といった障壁が無い。

だから、もっと安く読めると期待したが、さほど安くなく非常に残念だ。

文庫本で626円する「花火/又吉直樹著」が電子書籍だと500円。

安くはあるが激安ではない。

これはベストセラーなので千円以下で買える。

でも少し専門的な本「衝動に支配される世界/ポール・ロバーツ著」では2,592円が電子版でも2,333円もする。

買うには躊躇してしまう。
つまり電子化することで利便性が上がった。

故に今までは高値だった本も売れるだろうという期待は全くのお門違いだ。

読者は、もっと安価である事を期待したはずで、そこに思惑のズレがある。

雑誌の誌面は見るに堪えない

雑誌の電子版は、もっと酷い。

誌面の構成が重要なため、それを崩さず、そのまま電子化している。

読者は貼り付けられた画像を見せつけられているのと同じだ。

つまり文字の拡大縮小ができない。

写真や図表の隙間の同じ画像化され薄れた状態の文字を必死に目を寄せて解読するしかない。

全く疲れる作業で内容など頭に入ってこない。

雑誌なので専門書と違い、もっと気軽に読みたい。

差別化を定額制がダメにした

最初のひと月は無料で月々たったのXXX円で雑誌が読み放題と謳ったサイトが多々ある。

比較すると読める雑誌が非常に似通って、しかも自分の読みたい雑誌など皆無だ。

ジャンル分けも同じで、しかも不愉快だ。

「週刊誌」の中に経済誌が入っていて、それと同列で「男性誌」「女性誌」「スポーツ」「趣味」と続く。

男性の私が「女性誌」の雑誌分の料金を何故払わないといけないのか全く納得いかない。

また、その数の多さに参ってしまう。

「男性誌」といってもファッションの話題がほとんどで私は全く興味なく無駄なだけだ。

毎月集まった売上から数パーセントは出版元へ支払われる。

しかし出版元の方が権威がある。

こんな売上にしかないなら電子化しないと断った出版元も多いはずだ。

定額化に賛同した出版元の輪が、この程度しか広がらなかった。

なので今の時点で定額で最大読める雑誌を集めただけという訳だ。

まとめ

最初の発想が間違っている。

非常に簡単に参入できるが故に、だだそれだけの理由で始めたサイトも多いはずだ。

有名な雑誌を電子化するだけ、しかも誌面を画像化したのものを閲覧させる。

配慮の微塵もない。

よくも一流の出版社が決めたものだと疑いたくなる。

結局、書籍を電子化する時のコンセプトが曖昧だ。

インターネットはHTMLで画面を構成するのが基本だ。

そのためIEやChromeといった閲覧ソフトが必要だった。

しかし電子書籍は、また新たな閲覧ソフトでしか見れなくした。

それはコピーを防ぐためだ。

そのため雑誌を電子化する際コピー不能な画像を表示するしか手がなかったと思われる。

だったら止めれば良いものを見切り発車したかたちだ。

読者を置き去りにした企業間競争の賜物としか思えない。

キュレーションメディアといい、最近は、こうした安直な行動が散見され不愉快だ。

これもグローバリズムの負の遺産なのか。